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アトピー性皮膚炎と皮膚の常在菌叢(マイクロバイオーム)について

  • 学術

皮膚には常に色々な細菌が生息していますが、最近の研究によって、菌の種類や数のバランスが皮膚の健康に大きく影響することがわかってきました。

 

アトピー性皮膚炎は強いかゆみを伴った湿疹が繰り返し現れることが特徴です。バリア機能が低下しているため、皮膚が乾燥して刺激を受けやすくなっています。かゆみに悩まれている方は多く、睡眠が妨げられたり、掻くことによって皮膚の状態が悪くなったり、そのために生活の質(QOL)が低下します。アトピー性皮膚炎の皮膚からは多くの場合黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)が検出され、アトピー性皮膚炎との関連性が指摘されてきました。ロレアルの研究でも実際、アトピー性皮膚炎では正常部位に比べて湿疹のある部位には黄色ブドウ球菌の割合が多いことが示されています(図-a1)

 

アトピー性皮膚炎では皮膚バリア機能を維持し、水分損失を防ぐために保湿剤でのケアが大変重要になっています。フランスの天然の湧水で培養したヴィトレオシラ フィリフォルミス(Vitreoscilla filiformisVf)の分解物を含む保湿剤を4週間使用した結果、Vf分解物を含まない保湿剤に比べて、かゆみの程度や皮膚の状態が有意に改善し、湿疹のある部位の細菌の数や種類が、正常部位の状態に近づくことがわかりました(図-b1), 2)。これは、皮膚バリア機能が改善し、皮膚環境が変化したことが常在菌叢の状態に影響したと考えています。Vf分解物の働きについてはまだわからないことが多いのですが、免疫系や細菌叢への間接的な作用も考えられ、現在さらに研究を進めているところです。

 

これらの結果は、国内外のジャーナルで紹介されています。ロレアル リサーチ&イノベーションは今後も皮膚の細菌叢について研究を続け、健康な皮膚の維持に応用していきます。

 

 

図:アトピー性皮膚炎における皮膚常在菌叢

 

1)           Seité S et al. Clin Cosmet Investig Dermatol., 10:25-33. (2017)

2)           鈴木格 「アトピー性皮膚炎と皮膚マイクロバイオーム」、フレグランスジャーナル、46 (12), 34-37 (2018)


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